「日本語教育研究センターインストラクター就業規則」届出にともなう過半数代表者選挙の経過とその後の教職両組合執行委員会の取り組みについて

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「日本語教育研究センターインストラクター就業規則」届出にともなう過半数代表者選挙の経過とその後の教職両組合執行委員会の取り組みについて

2015年7月6日
早稲田大学教員組合執行委員会
早稲田大学職員組合執行委員会

大学による標記就業規則届出にともなう労働者の過半数代表者選挙(※)が、6月9日〜15日の日程で投票権を持つ早稲田キャンパス所属の教職員等を対象におこなわれ、教職両組合執行委員会推薦の大橋麻也氏(教組書記次長/法学学術院准教授)が圧倒的多数の支持を得て過半数代表者に選出された。教職両組合執行委員会は、今回の選挙にご協力をいただいたみなさんにお礼を申し上げるとともに、あらためて今回の選挙の経過・意義・その後の対応について説明をしたい。

※ 事業主が就業規則を制定・改廃する際には労働者の過半数を代表する者の意見が求められている。その過半数を代表する者を選出するのが過半数代表選挙である。

1.大学の「就業規則」届出内容の問題点

大学は標記の就業規則届出に際し、現行の「日本語教育研究センターインストラクター規程」と「日本語教育研究センターインストラクターの給与に関する規程」をもって労働基準監督署に届け出ようとしている。両組合執行委員会は、就業規則として届け出るにはこの2規程は内容的に不十分であり、他の職種の就業規程で明記されている休日・休暇・福利厚生、安全衛生、災害補償等にかかわる事項が抜けており、さらにはインストラクター(任期付)、インストラクター(非常勤)の任期の見直し、および給与面での待遇改善が必要であるとの認識のもとに、過半数代表者に求められている意見書提出に際し、それらの事項を記載して大学に提出する必要性を主張して、選挙戦に臨んだ。

2.過半数代表者選出区分を理由とした早稲田ユニオン分会の事実にづかない主張

首都圏大学非常勤講師組合早稲田ユニオン分会(以下、早稲田ユニオン分会という)も候補者を擁立した。擁立にあたって早稲田ユニオン分会は「専任教職員組合執行部は早稲田大学当局と一体化」「度重なる専任教職員の私たち非常勤講師組合・早稲田ユニオンに対する背信行為」などと事実に基づかない主張をし、その理由として、教職両組合と早稲田ユニオン分会の間には「非常勤に係わる過半数代表選挙が行われる場合は、「早稲田、戸山、西早稲田(理工)キャンパスにおいて非常勤講師・早稲田ユニオンが候補をたてるという合意が結ばれていた」(他の場面では「協定が結ばれました」とも主張)のに、それを教職両組合執行委員会が無視した、との持論を示した。

3.過半数代表者選出区分についての早稲田ユニオン分会との申し合わせ内容

これについて教職両組合執行委員会は選挙戦の中でも明確にしてきたが、2014年度の過半数代表者の選出において、大学から提示された選出区分は「非常勤講師就業規程の改廃に関する事項」と「その他の事項」で実施するというものであり、教職両組合と早稲田ユニオン分会は両者ともその内容で実施することに合意した。その選出区分を前提に、教職両組合と早稲田ユニオン分会は「非常勤講師就業規程の改廃に関する事項」の過半数代表者選出の際には、早稲田キャンパス・戸山キャンパス・西早稲田キャンパス(事業所)には教職両組合の推薦候補を擁立しないことを申し合わせたのであり、非常勤全般の問題について両組合が3つのキャンパスに候補者を擁立しないという「合意」や「協定」が交わされた事実はない。

4.教職両組合は有期雇用教職員に関する意見書提出の際の方法を提案

早稲田ユニオン分会は、選出区分を「有期雇用労働者に関する事項と、その他の事項」にすることを主張していた。しかし有期雇用教職員に関する労働条件改善については、これまで教職両組合が中心的に担ってきたことから、教職両組合執行委員会はそうした区分提案には同意しなかった。しかし同時に、近年は有期雇用教員の労働条件について、早稲田ユニオン分会が大学と係争している事項もあるため、教職両組合執行委員会推薦の過半数代表者が、「非常勤講師就業規程の改廃以外のその他の事項」にかかわって意見書を提出する際には、「早稲田ユニオン分会の見解もふまえて意見書を作成する」と早稲田ユニオン分会に提案し、そのための意見交換もおこなってきた。

5.インストラクター規程は教員組合との協議事項

今回の大学の「日本語教育研究センターインストラクター就業規則」届出に対して、教職両組合執行委員会は、労働条件の明示の原則からして、その必要性は当然のことと理解し、同時に提案のままでは就業規程の要件を満たしていないこと、「インストラクター規程」に関しては、大学との間では教員組合との協議事項であること、またインストラクターには、「インストラクター(任期付)」と「インストラクター(非常勤)」の2種類があり、前者については教員組合の組織対象としていること、過半数代表者選出区分からいえば、「非常勤講師就業規程の改廃以外に関する意見聴取事項」と考えられることなどを考慮して、早稲田ユニオン分会に対して、「就業規則が届出されていない状況は放置できない」「インストラクターの労働条件は教員組合との協議事項である」ことを説明し、教職両組合から推薦候補を立てることを連絡し理解を求めた。しかし同時に早稲田ユニオン分会と大学で係争中の案件もあるので意見表明に際しては早稲田ユニオン分会の意見も反映させる措置をとることを伝えた。

6.早稲田ユニオン分会の今回の選挙の目的

しかしこの連絡に何も反応しないままに、早稲田ユニオン分会は、前記2項のような事実に基づかない主張を繰り返し、「広く社会に早稲田大学や専任教職員組合の横暴や堕落を印象づけ」、また「今回の過半数代表選挙の異常性・不当性を広く社会に訴える機会にしたい」との目的のために今回の過半数代表者選挙を利用し、学外者の「推薦人」を募り、また「仮に過半数代表選挙に勝利しても『意見書』をかかないための『候補』です」として、“意見書を提出しない”ことを前面に押し出し、様々なビラ、ブログ、「公開質問状」などで、教職両組合への誹謗を展開してきた。これに対して教職両組合執行委員会は、主に「きょうとうニュース」693、694において、これまでの早稲田ユニオン分会との意見交換の経過をもとに事実に即した説明と反論をおこなってきた。

7.両組合執行委員会は意見書を提出しながら問題解決へ努力する立場を表明

早稲田ユニオン分会は、過半数代表者が意見書を提出することに対し、「労基署は過半数代表者が意見書で異議申し立てをしても雇用者はそれを考慮する義務はなく、過半数代表者から意見を聴取したという形さえあれば労基署は就業規則を受理し、就業規則は法的な有効性を持つという現実に教職両組合は触れていない」などと批判してきた。教職両組合執行委員会は、労働基準法第90条には、事業主が労働基準監督署に就業規則を届け出るに際しては、過半数代表者の意見書の添付が求められており、そのために大学が提出しようとしている就業規則には前記1項に指摘したような問題があることを明らかにし、要求実現に向けた方法の一つとして今回の選挙に取り組んだ。仮に過半数代表者が意見書を提出しなくても、労基署は「意見を聴いたことが客観的に証明できる限り届出を受理する」とされており、早稲田ユニオン分会が「『意見書』を書かないための『候補』」を擁立した意味がどこにあるのかという点が逆に問われていると考える。

8.教職両組合執行委員会と推薦過半数代表候補の立場

以上の論点もふまえつつ、教職両組合執行委員会は、「大学が届け出ようとしている就業規則が、@就業規則要件を満たしていないこと、A現状において日本語教育研究センターインストラクターの教員が他の職種の就業規則と照らしても不十分な扱いであること、をはっきりさせ、同時に現在の早稲田ユニオン分会が係争している労働条件改善に向けた課題をも、意見書提出後も継続的に交渉して、改善させることが必要だと考えている」ことを表明した。さらには早稲田大学では留学生を増加させる方針がとられており、日本語教育の重要性は今後ますます高まってくると思われることから、その教育にあたる日本語教育研究センターの任期付准教授、非常勤講師、インストラクター(任期付)、インストラクター(非常勤)の各教員の役割や位置づけがどうあるべきか、それらの方々の労働条件の問題とともに、今後、議論が必要との考えも述べ、「教職両組合ではそうした点からも大学の考えをただしていきたいと考えています」と今後の対処方法も表明してきた。

9.過半数代表者選挙後に早稲田ユニオン分会に意見書提出問題での意見交換をよびかける

教職両組合執行委員会は、早稲田ユニオン分会が係争している問題については、教職両組合推薦候補が意見書を提出する際には、早稲田ユニオン分会の意見を反映させる努力をおこなうことを過半数代表者選挙期間中も明言していた。そこで6月17日に「今回選出された過半数代表者が提出する意見書の内容について」の意見交換を早稲田ユニオン分会に申し入れた。これに対して早稲田ユニオン分会からは「日本語教育センター非常勤インストラクターの就業規則については、労使間での協議がまだ行われておらず、意見書を提出できる段階ではない」ため、「今、意見交換することはできません」と返事があった。同時に「団交の中で早稲田大学理事会からは任期法を踏まえ、契約上限を10年とする就業規則を新たに制定する準備中だと聞いている」と述べ、大学理事会と早稲田ユニオン分会の間で「非常勤インストラクターの就業規則の合意が確認できた後に、過半数代表者にはわれわれの意見を伝えますので、それまで意見書提出するのをお控えください」との返事が届けられた。

10.教職両組合から再度の意見交換のよびかけ

この返事に対して6月23日に教職両組合執行委員会は、教職両組合推薦の過半数代表者である大橋氏と両組合執行委員会は、現時点で意見書を提出するとの立場に変わりはないこと、また教員組合にあっては前記8項に述べた事項もふまえた要求を大学に対し行っていく考えを説明した。その上で、「教職両組合と早稲田ユニオン分会とでは、早稲田における教育研究体制の問題のとらえ方などは相違しておりますが、教職員、とりわけ非専任教職員の労働条件改善に向けては一致する部分も多いと思われます」、「意見書提出について意見の相違はあっても、双方がそれぞれの立場で交渉することについて意見交換をすることは意義のあることだと考えます」とした上で、再度意見交換の機会の設定を申し入れた。

11.双方がそれぞれの立場で交渉することを前提に意見交換へ

この再度のよびかけに対して6月24日に早稲田ユニオン分会から「意見書提出にあたっての意見交換」に応じることはできないとしつつも、「『意見書提出について意見の相違はあっても、双方がそれぞれの立場で交渉することについて意見交換をすることは意義のあることだと考えます』であることは認めますが、そのための意見交換は『日本語教育研究センターインストラクター就業規則届出に関する意見書の意見交換』とはまた別に行う必要があります」との返事があった。教職両組合執行委員会は必要な課題について早稲田ユニオン分会との間で相互理解と共通認識をはかり、協働関係を築いていくことが必要と考えており、引き続き早稲田ユニオン分会との接点を広げていく努力をしていきたい。

12.過半数代表者の意見書と教員組合の要求書

教職両組合は早稲田ユニオン分会との意見交換の取り組みと同時に日本語教育研究センターの教職員に対しても聞き取りをおこない、状況の把握と問題点の整理に努めてきた。それらをふまえ、「日本語教育研究センターインストラクター就業規則」届出に関して過半数代表者(大橋麻也氏)からは、別掲の意見書(掲載にあたっては氏名を省略)を大学に提出し、また教員組合執行委員会の側でも同趣旨の要求書を提出して団交を行うように求めたところである。教職両組合の組合員のみなさんには、以上の経過とこれからの対応についてご理解いただくようお願いしたい。

以 上



(過半数代表者の意見書)

2015年7月3日

日本語教育研究センターインストラクター就業規則の届出への意見書

早稲田キャンパス過半数代表

日本語教育研究センターインストラクター就業規則を労働基準監督署へ届け出るにあたり、早稲田キャンパスの過半数代表者として以下の意見を表明します。

@ 今回、大学が届け出ようとしているインストラクター就業規則には、他の職種の就業規則で規定されている休日・休暇、福利厚生、安全衛生、災害補償にかかわる事項を盛り込むことが必要と考えます。
A インストラクター(任期付)の任期は1年で、更新上限は3年とされています。日本語教育研究センターの役割を強化する意味からも任期を見直すことが必要と考えます。
B インストラクター(非常勤)の任期については、在職5年を超えることができないとされています。このことがインストラクター(非常勤)の確保にとっても障害となっていると思われます。この点からも在職期間の規定について見直すことが必要と考えます。
C インストラクター(任期付)、インストラクター(非常勤)をはじめ、有期雇用の教職員の待遇(賃金条件)については引き続き改善をはかることが必要と考えます。
D Waseda Vision 150ならびにスーパーグローバル大学創成支援事業(SGU)においては、留学生の受け入れを飛躍的に増加させる計画が示されています。このこととの関係で日本語教育研究センターのさらなる役割強化が求められていると思われますが、今後のセンターのあり方についての理事会としての考えを教職員に対し示すことが必要と考えます。

以 上



(教員組合の要求書)

教組発第1194号
2015年7月3日

早稲田大学
総長 鎌田 薫 殿

早稲田大学教員組合
執行委員長 高 橋 龍三郎

日本語教育研究センターインストラクターの労働条件等に関する要求

日本語教育研究センターインストラクター就業規則の届出に関連し、過半数代表者からは別途5項目にわたる意見書が提出されましたが、組合として日本語教育研究センターのインストラクターの労働条件等について以下の改善等を求めます。 この改善要求への回答ならびに団体交渉を、7月13日(月)までに行うよう求めます。

【要求項目】
@ 大学が届け出ようとしているインストラクター就業規則には、他の職種の就業規則で規定されている休日・休暇、福利厚生、安全衛生、災害補償にかかわる事項を盛り込むこと。
A インストラクター(任期付)の任期は1年で、更新上限は3年とされている。日本語教育研究センターの役割を強化する意味からも任期を見直すこと。
B インストラクター(非常勤)の任期については、在職5年を超えることができないとされている。このことがインストラクター(非常勤)の確保にとっても障害となっていると思われる。この点からも在職期間の規定について見直すこと。
C インストラクター(任期付)、インストラクター(非常勤)をはじめ、有期雇用の教職員の待遇(賃金条件)については引き続き改善をはかること。
D Waseda Vision 150ならびにスーパーグローバル大学創成支援事業(SGU)においては、留学生の受け入れを飛躍的に増加させる計画が示されている。このこととの関係で日本語教育研究センターのさらなる役割強化が求められていると思われるが、今後のセンターのあり方についての理事会としての考えを示すこと。

以 上


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