組合からのお知らせ

日本学術会議法案に対する執行委員会声明

  • LINEで送る

執行委員会は日本学術会議法案について、以下の声明をあげました。

日本学術会議法案に関する執行委員会声明

2025年5月1日
早稲田大学教員組合執行委員会

 本年3月7日、政府は日本学術会議法案を閣議決定し、衆議院に提出しました。これは、国の「特別の機関」とされている現在の日本学術会議を廃止し、新たに「特殊法人」として設立するというものです。

 法案の概要によると、新たに設立される日本学術会議は法人化した上で、内閣総理大臣が「監事」を任命し、会員選考では「会員候補者選定委員会」が会員以外の者で構成される「選定助言委員会」の意見を聴くものとし、「6年ごとの中期的な活動計画」を作成し、毎年自ら点検及び評価をおこない、内閣府に設置された「評価委員会」がこれを評価し日本学術会議に意見を述べるというものになっています。

 日本学術会議の組織のあり方について、日本学術会議は、ナショナルアカデミーとして組織が満たすべき5要件(①学術的に国を代表する機関としての地位、②そのための公的資格の付与、③国家財政支出による安定した財政基盤、④活動面での政府からの独立、⑤会員選考における自主性・独立性)を提示し、4月15日に行われた第194回総会において声明「次世代につなぐ日本学術会議の継続と発展に向けて~政府による日本学術会議法案の国会提出にあたって」ならびに「日本学術会議法案の修正について」を決議しました。

 声明では、法案が基本理念において現行法の前文に規定された内容を踏襲しておらず、「科学が文化国家の基礎」「我が国の平和的復興への貢献」などの理念に代えて、学術の位置付けに関して「人類共有の知的資源」「経済社会の健全な発展の基盤」といった記述に改め、歴史的な背景をも踏まえた、科学者としての決意が表現された法律から、国、政府の側から見た学術への期待を表現する法律に変質させている、と指摘し、決議では5要件のうち、国家財政支出による安定した財政基盤、活動面での政府からの独立、会員選考における自主性・独立性を充足しておらず、5つの懸念(①大臣任命の監事の設置を法定すること、②大臣任命の評価委員会の設置を法定すること、③『中期目標・中期計画』を法定すること、④コ・オプテーションの考え方の逸脱になる次期以降の会員の選考に特別な方法を導入すること、および⑤選考助言委員会の設置を法定することに対する懸念)を払拭するよう修正を求めています。

 今般の日本学術会議法案は日本学術会議のみならず、ひいては学問の自由、大学の学術活動の自律的な展開を阻害する恐れがあると強い危惧を抱くとともに、日本学術会議の総会声明ならびに決議を支持し、国会においても慎重に審議するよう求めます。

以上

  • LINEで送る